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2000年2月のお知らせ

東京新聞にて『クリアーボイス』が表示されました

母と話したい・・・思いが 音声拡聴器に

東京新聞 2000(平成12)年2月23日付

「耳 が不自由な母ともう一度普通に話しができたら・・・・・」。そんな思いを込めて息子は作った。川崎市高津区でプリント基盤設計・制作の電子機械会社「伊吹 電子を経営する松田正雄さん(58)が開発したのは、相手の話し声が大きくはっきり聞こえる携帯電話型の「音声拡聴器」だ。

滋賀県に住む松田さんの母親タネさんは90歳になったころから耳が遠くなり、大声を出しても振りかえらなくなった。いつしか家族との会話も減り、ふさぎがちに。補聴器を数度試したが、わずらわしさや故障のために使いたがらなかったという。
1997年春のことだった。松田さんはひらめいた。「音を増幅させるスピーカーのような機械がいいのでは。」得意のプリント基板にスピーカーと電源を備え た簡単な試作品を母親のみ身元に当てた。  「正解だよ」と呼び掛ける声に、タネさんは「よー聞こえるでー」と故郷の言葉でにっこり笑ったという。 松田さんは他の人にも役立ててもらいたいと、本 格的に機器の開発に乗り出す。が、98年3月、タネさんは99歳で亡くなる。 
  その後、この「音声拡聴器」は完成、スイッチに軽く触れるだけで話し声が大きくなり、簡単操作の製品に仕上がり、特許も取った。値段は1台9800円。 「クリアーボイス」と名付けられた商品第1号を、松田さんはタネさんの仏壇に供えた。
  会社には商品を買った人たちから、数えきれない手紙やはがきが舞い込んでいる。「母と一緒に操作しました」「子どもとのだんらんに加われました」「娘の声がよく聞こえます」・・・・・。いずれも短いが,気持ちのこもった言葉だ。
  松田さんの母への思いが生んだ小さな電子製品。「音声拡聴器」という機能がウケたのはもちろんだ。しかし、ヒットの最大の要因は、この商品が、親と子の 心をつなぐ橋渡しの役を果たしてくれるからではないか。    

「おふくろ、ありがとう」。正雄さんの声は、天国のタネさんに届いているに違いない。